そんなお悩みにお応えします。
実際、筆者も学習する中でカウンセリング理論の内容と人物名がなかなか紐づかずに苦労していました。
そんな中、記憶定着には覚えるためのきっかけが必要ですので、提唱者の周辺情報を知りたいと思っていました。
しかし、ネット上には知りたい情報がばらばらに散らばっているケースが多かったのです。
そこで、ここを見れば試験内容はカバーしているし、提唱者の人となりもわかって覚えやすいといったページがあればよいと思ったので自身で作成してみました。
少しでも皆様の参考になれば幸いです。
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本記事の内容
- フロイトの経歴
- フロイト関連の頻出問題
- フロイトが唱えたカウンセリング理論
- フロイトからの分化
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、
- キャリアコンサルタント合格に向け勉強中(カウンセリング理論が覚えられずに苦悩するもなんとか予備校のテストでは正答率97%)
- SNSを通じてES・履歴書・職歴書・志望動機書に関するキャリアサポートを実施
- ドイツ勤務、外資系メーカーへの転職を経て、現在は外資系コンサルティングファームでビジネスコンサルタント職に従事
本記事は、筆者の学習経験に加えこちらの書籍を参考に執筆しています。
(本ページは一部プロモーションが含まれています)
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フロイトの経歴
(Source: wikipedia)
本名:ジークムント・フロイト(Sigmund Freud)
生涯:1856-1939
出身地:オーストリア
職業:心理学者、精神科医
出身大学:ウィーン大学
意外な事実:生まれた時は名前が違った。ギスムント・シュローモ・フロイト (Sigismund Schlomo Freud:)
キャリアコンサルティングの勉強をしていると多くの学者が出てくるけど、ほとんど人がとても優秀であることに気づきます。
フロイトが卒業したウィーン大学も2020QS世界大学ランキングで154位とトップクラスに君臨しており、年多くのノーベル賞受賞者を輩出しています。
しかも医学部に在籍していたようで、大学卒業後にコカインを局所麻酔剤として使用し友人の眼科医らと眼科領域で手術に成功したようです。
こんな天才ぶりを発揮しているフロイトですが、自身が英語が苦手であったことからアメリカに対して偏見を持っていたそうです。
そして悲しい歴史ですが、当時ナチスのユダヤ人迫害の煽りを受けて、フロイトはイギリスに亡命したそうです。
そんなフロイトは末期癌で1939年、ロンドンにてその生涯を終えます。
フロイト関連の頻出問題
Q1:
フロイトによって創始された精神分析や精神分析的アプローチでは、相談者の現在の行動と過去の経験を関連付けて考え、関連に気づくことで自己理解と問題の軽減を促す。
Q2:
フロイトは、人の脳の構造について、左脳は知覚、思考、判断などの論理的思考を、右脳は本能や自律神経、感性等の感覚的思考を行っていることを明らかにした。
Q3:
フロイトによって提唱された「局所論」とは人の心の世界を「自我」「イドまたはエス」「超自我」の領域に区分し、精神的な活動がどの部分で行われているのかを明らかにしようとした心のモデルのことである。
Q4:
フロイトやその末娘であるアンナ・フロイトらによれば防衛機制とは無意識的な反応として生じるので、相談者の防衛機制が働いた場面を把握しておくとこで課題が見えてくる可能性がある。
Q5:
「精神分析療法」において次の4つの言葉の組み合わせは適切である。「局所論」「現実原則」「自由連想」「防衛機能」
Q6:
フロイトにより創始された精神分析的アプローチでは相談者の悩みをつかさどっている意識について心理検査を行い、前意識や無意識に昇華させることで、悩みの改善を目指す。
Q7:
フロイトによって整理された防衛機制の中の「接種(取り入れ)」は、外界のある対象に向けられた無意識的な欲求や衝動を他の対象に向けることで、不安、罪悪感、欲求不満などを解消しようとすることである。
Q8:
防衛機能の一種である「昇華」とは、ある分野での劣等感による緊張を解消するために他の分野で優越性を求めることである。
Q9:
防衛機制の一種である「反動形成」とは自分が持っている社会的に望ましくない感情を相手が持っていることにして責任を転嫁することである。
Q10:
「合理化」と呼ばれる防衛機制は何かもっともらしい理屈をつけて自己を正当化しようとすることである。
Q11:
自己防衛機制の一種である「意識化」とは、不快を呼び起こすような過去の体験を敢えて思い出して言語化することでその体験を経験に昇華させる作業である。
Q12:
「同一化」とは。例えば尊敬したり憧れる人物の言語や行動をまねる事等を通じて、自身の劣等感やコンプレックスを抑圧しようとすることであるが、一方で成長につながる教育的なものであるとも言える。
Q13:
次の組み合わせは適切である。「フロイト」「精神分析」「共感的理解」
Q1:○、Q2:×フロイトとは関係ない、Q3:×局所論は心を意識、前意識、無意識と捉えたものであり、設問文はフロイトの構造論のことである、Q4:○、Q5:○現実原則とは、現実の制約を受け入れて奉納的欲求を諦める自我の働きのことを指し、自由連想はフロイトによって確立された精神分析療法の基本技法、Q6:×「昇華」という用語は精神分析的アプローチではこの意味で用いられない、Q7:防衛機制の「摂取」とは、自分の中に自分以外のものを取り入れて心の安定を図ることである、設問文は置き換えの説明である、Q8:×「昇華」とは社会的に発露しづらい欲求や感情を文化的に価値ある行動などにしていくこと、設問文は「補償」の説明である、Q9:×「反動行動」とは本心とは逆の発言をしたり、思いとは正反対の行動をとることを指す、設問文は「投影」の説明である、Q10:○、Q11:×「無意識化」は防衛機制ではない、Q12:○、Q13:共感的理解はロジャーズによって提供されたセラピストに必要とされる要素
フロイトが提唱した理論
フロイト関連:キャリコン試験に向け絶対に覚えること5つ
- 精神分析的カウンセリング:無意識
- 構造論
- 局所論
- 心理性的発達論:快楽への意志
- 防衛機制
フロイトが提唱した精神分析療法は感情的アプローチの一部です。
精神分析的カウンセリング
人間の心理的援助理論として最も早く開発された理論。
人は無意識(自分の知らない自分)に動かされているので、自由奔放な本能や欲求をいかにコントロールし人間にふさわしい理性や良心を培っていく過程が発達であるという主張です。
フロイトは、無意識下に抑圧されている不安などにより心理的不適応が起こるとし、そうであるならば、無意識を意識化し洞察を深めることができれば問題は解決すると考えたのです。
個人的に、心理学者の発想はぶっとんでいることが往々にしてあるように感じます。
具体的な理論は次以降で紹介しますので、ここでは「フロイト、無意識」のワード紐付けくらいで良いかと思います。
構造論
一言で言うと、人の心は「エス」「自我」「超自我」から成ると言うことです。
よくわからないのでもう少し詳しく見ていきましょう。
- エス:快楽原則で動き、衝動的なエネルギーを指す
- 自我:現実認識の力であり、エスや超自我、外界からの刺激をコントロールしながら自分らしさを保とうとすることを指す
- 超自我:道徳原則で動き、人間として生きる上での理想的な良心を指す
局所論
局所論は、構造論とは別の心のもう一つのモデルと呼ばれています。
フロイトは下図のように、心は「意識」「前意識」「無意識」の3層から成ると提唱しました。
本質的には「無意識」を「意識化」することの重要性を訴えています。
そもそも無意識とは抑圧されたものからなる領域であり、言い換えると、意識していると不快なので意識から締め出されたもの、とフロイトは定義しました。
そしてそのような無意識を意識に昇華させるには本人の努力だけでは困難であるとし、その意識化の援助を精神分析で行う必要性を提唱したのです。
心理性的発達理論
フロイトは自我の発達を性的エネルギーと紐付け、各年齢における性的充足度合いによって性格傾向に影響を及ぼすと提唱しました。
何とも訳のわからないロジックですが、引かずに聞いてください。
それぞれの時期に欲求が十分に満たされないと、リビドーの固着という現象が生じ、性格傾向や心理的な不対応、思考、行動上のこだわりに影響を与えるとの主張です。
リビドーとは、制欲を発現させるエネルギーのこと
心理性的発達理論 5つの段階
段階の名称 | 対象年齢 | 詳細 |
1. 口唇期 | 生後〜1歳 | 授乳・摂食によって口唇から期間を得る時期 |
2. 肛門期 | 1歳半〜3歳 | 排泄器官の神経発達による排泄コントロール、肛門周辺の快楽による満足を得る時期 |
3. 男根期(エディプス期) | 3〜6歳 | 異性の親への愛着、同性の親への敵意、罰せられる不安というエディプス・コンプレックスと去勢不安 |
4. 潜伏期 | 6〜12歳 | 児童期で性的欲求より知的・社会的関心が強まる |
5. 性器期 | 12歳〜 | 身体的成熟に伴い、自体愛から対象愛へと代わる |
。。。もうドン引きですね。
先生が淡々と心理性的発達理論を解説しているときは本当に何を言っているかわかりませんでしたが、よくよく考えると確かに赤ちゃんは何でも口に物を入れたがったり、3歳を過ぎると子供は女の子ならパパっ子、男の子ならママっ子になる傾向にある気がします。
防衛機制
防衛機制とは、受け入れがたい状況や気持ちに陥った際にその不安を軽減しようとする無意識的な心の動きのことです。
ここでは各項目を筆者なりに一言で纏めてみたいと思います。(◎は試験でよく出ると言われている項目です)
13の防衛機制
項目 | 概要(一言で!) | 例 |
抑圧◎ | (無意識で)嫌なことを無意識層に押し込んで、意識に上がらせない | 虐待されたトラウマを無意識の領域に押し込める |
否認 | 嫌な出来事を認めない | 私があの人を避けているのではなくて、あの人が私を避けているんだ |
反動形成◎ | 受け入れがたい欲求を押さえつけて、反対の態度をとる | 嫌いな相手に会えて丁寧な態度をとる |
置き換え◎ | 本当の欲求を抑圧し、手軽なもので満足すれば良いや | Louis Vu〇ttonのバックが欲しいけど高いから模倣品を買う |
合理化◎ | 欲求は満たされてないけど、ちゃんとした理由を作って自分を安心させる | ブドウを取らなかったのは酸っぱいからだ(本当は取りたかったけど取れなかったので強がっている) |
同一化(取り入れ)◎ | 尊敬する人や憧れの人を自分と重ね合わせ、その人のように振る舞う | 聖子ちゃんが好きなので聖子ちゃんカットで聖子ちゃんを自分に重ねる |
補償 | 劣等感を感じているところもあるけど、他に誇れる部分があるしいいや | 彼氏ができなくてクリスマスは結局一人なので、仕事に精を出す |
知性化 | 欲求満たされないからとりあえず情報集めて頭良い風の頭でっかちに | 離婚しショックだったが高知県の離婚率を調べると46%だったので、まあ仕方ないと納得する |
抑制 | (意識的に)嫌なことを無意識層に押し込んで、意識に上がらせない | 失恋してショックだけど仕事を頑張ることで忘れようとする |
愛他主義 | 自分では欲求満たせなかったけど、きっとあなたならできるから託す | 自分が無しえなかった東大進学を息子に託す |
ユーモア | 辛いけどとりあえず笑っとけ | サラリーマン川柳で自虐ネタを提出する |
昇華◎ | 社会的にNGな欲求を、社会的に価値ある行動へ変えちゃう | 朝倉兄弟は路上の伝説と呼ばれていたが、今ではボクシングのスーパースターになっている。 |
予期 | 将来不安だから、予め何かしら計画しておく | 年金受給に不安を感じているので個人年金を初めて老後の生活設計を行う |
分類整理はフロイトの娘であるアンナ・フロイトが行いました
その他フロイト関係の療法
以下の療法は、「フロイトと関係がある」という認識を持っておく程度で、過去問や予想問題に出てきたときに正解の選択肢として残せるようにしておくと良いです。
自由連想法
カウチに横たわり、思い浮かぶ言葉をすべて語ってもらうことで自己理解を深化する療法
夢の分析
夢は無意識が抑圧、変形、加工されできたものであるので、夢を自由連想で紐解くことで潜在的思考をあぶり出す
介入と解釈
明確化と直面化(CLが問題を直視するよう促す)
抵抗の分析
抵抗を分析することで防衛や無意識的過程を明らかにする
転移の分析と逆転移
クライアントにとって誰かに抱いてきた重要な感情をカウンセラーに向け変えることを転移といい、その逆を逆転移という
フロイトからの主な分派
アドラー
キーワードは「劣等感、勇気づけ、共同体感覚」
人間は自己の劣等感を補償しようという力への意思を持つと主張。
精神障害も罪も劣等コンプレックスからくるので、勇気づけ等、劣等感を和らげる働きを中心とした療法を行った。
アドラー心理学では「皆に認められて自分で自分を認められること(共同体感覚)」を幸せとみなす。
ユング
キーワードは「集合的無意識」
フロイトの「夢判断」を読みフロイトに傾倒し、後継者とみなされた。
国際精神分析学会を創出し初代会長に。
ブリル
キーワードは「昇華」
職業選択に対して「快楽・現実原則」を適用し、「昇華」の概念を使って説明。
まとめ:フロイトは精神分析理論の大御所
フロイト関係で、まず最低限マストで覚えていかなければならないのは次の4つです。
マストで覚える4つのこと
- 局所論
- 構造論
- リビドー発達理論
- 自我の防衛機制
細かいことを全て押さえるのは難しいので、テストで合格できるレベル(正答率7割)を達成するよう意識することが必要です。
そのためには覚える事の重要度を見極める必要がありますが、過去問や練習問題を解きながら自分なりに濃淡をつけて学習を進められると良いと思います。
それでは、合格目指して皆さんで頑張りましょう!
今回参考にした書籍