今回はBCGで出題されたことのあるケーステーマ「ドローンの市場規模を算出し普及台数増加の施策を検討せよ」について解いてみました。
BCGで過去出題さえたことのあるケースお題はこちらでまとめています。
こんな方におすすめ
- コンサルタント志望者やビジネスアナリストを目指す学生やキャリア志向の人
- BCG(ボストンコンサルティンググループ)や戦略コンサルティング業界に興味を持つ人
- ケース面接に挑戦しようと考えている人
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、
- 海外MBA進学・2度の転職経験をもとに自身が所属する香港の団体でキャリア相談を実施
- SNSを通じてES・履歴書・職歴書・志望動機書に関するキャリアサポートを実施(合計30名以上)
- 大学でキャリア構築に関する講義を実施
- ドイツ勤務、外資系メーカーへの転職を経て、現在は外資系コンサルティングファームでビジネスコンサルタント職に従事
相談者視点で参加した、ポジウィルの無料カウンセリング体験を含む、キャリア関連のおすすめの無料ツールについてはこちらでまとめています。
(本ページは一部プロモーションが含まれています)
ケースの内容に入る前に、ケース面接を解く上でポイントとなる内容を確認しておきましょう。
ケース面接では問われるパターンや思考法などの基礎を徹底的に頭に入れることが重要です。
本ではなく動画で効率的にこのあたりの基礎を抑えたい人は、以下のような講座がわかりやすくお勧めです。
お勧め講座
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コンサル力を鍛える
コンサルタントとして必要な考える力を養うためには以下を意識する必要があります。
最も効率的であるのは以下のような、コンサル転職に特化したエージェントに登録し無料でケース模擬面接を実施してもらうことです。
コンサル特化型無料転職エージェント
筆者もケース面接対策時には転職エージェントさんには大変お世話になりました。
また、事前知識として以下の本は一通り読んでおくことをお勧めします。
ポイント確認
- ロジカルに考えること
- 生々しく具体的に想像すること
- 分かりやすくアウトプットすること
具体的には、以下を考え表現することが重要です。
・定量情報 ⇒【因数分解】することで具体化して
・定性情報 ⇒【構造化】することで分かりやすく
これらの思考は対策中だけ考えるのではなく、常に意識することで自分自身に馴染ませることができます。
例えば、
- 身の回りのモノ(ボールペンや通勤電車、入ったレストランなど)の市場規模や売上を考える
- 利益向上策を考える
- 新聞や雑誌の記事をみて、掲載されている企業の行動を自分なりに評価する(この行動の意図は?収益向上に貢献するのか?今後も伸びていくのか?他社は追随するか?そもそもいいのかor悪いのか?)
- 自社の経営課題について考える(会社のホームページなどをみて「経営者視点」で考えてみる)
新聞を読みながら、電車に乗っていながら、食事をしながらも問題意識を持てば、何かに気付き、問題を見つけ、さらに考えることが出来ると思います。
何事に対しても、問題意識(なぜ?どうして?他には?)を持つことが非常に重要です。
鍛えたいスキル
- 物事を分解・構造化して考える力
- 具体的なユーザーニーズを想像する力
- 思考の幅出し、深掘り
- 前提や背景の洞察
- 抽象化思考
ケース練習におけるマインド
1問あたりの回答時間は10~15分が目処です。
面接ではその程度の時間を目処に行われます。
ただ、最初の方は時間がかかっても構いませんので、じっくり考えるようにして下さい。
慣れてきたら時間を意識していきましょう。
ケース:ドローンの市場規模を算出し普及台数増加の施策を検討せよ
ケース面接には唯一解はないため、あくまで考え方の参考にしていただければと思います。
市場規模の算出
ドローンの市場規模を算出する上でどんな人が使っているかを想像する必要があります。
筆者がまず思い浮かんだのが、趣味でドローン免許を取得しフリーランスとしてドローンの空撮などを行う人です。
次に思い浮かんだのが、橋の裏側などの危険地点検を行う人です。
ドローンの発達によりこれまで人が行なっていた危険な作業をドローンに任せるようになってきました。
つまり、市場規模を算出する上で消費者(to C = 2C)と企業(to B = 2B)それぞれで規模を算出する必要があります。
2Cのドローン市場規模
「日本の人口 × ドローンを保有している人の率 × ドローンの単価 ÷ 耐久年数」で算出しました。
日本の人口は1.2億人。
ドローンを保有している人のわら愛はどのくらいでしょうか?
身の回りの人を10人集めた時にその中の1人がドローンを持っていることはありそうでしょうか?
筆者はそもそもドローンを持っている人が身の回りにいません。
よって、10人に1人もドローンを持っていないと考えました。
100人集めたら1人くらい持っていそうなので、ここではドローン保有率を1%と置しまた。
ドローンは簡単に買えるものではないので、数万円はしそうです。
以前バチェラーに出演していた久保さん(愛車がフェラーリ、実家はお医者様)がドローンで遊んでいるシーンを動画で見たことがあります。
そのイメージも相まって高いものはウン十万すると考えたので、一旦キリよく10万円と置きました。
耐久年数はどの程度でしょうか。
車が10年とすると、ドローンの耐久年数はそれよりも短そうです。
PCは大体3年くらいで買い替えますでしょうか。
ドローンは毎日使うわけではないので3年と10年の間を取って3年よりの5年を耐久年数と置きました。
これらの式を計算するとおおよそ240億円となります。
2Bのドローン市場規模
続いて企業向け(2B)はどうでしょうか。
まず日本の企業全体の数から、ドローンを持っている企業の割合を考え、その企業たちがどのくらいドローンを持っているか検討します。
その上でドローンの価格と耐久年数を考慮します。
式にすると以下です。
「日本の企業数 × ドローンを保有している企業の割合 × その企業が保有するドローンの数 × ドローンの単価 ÷ 耐久年数」
日本の企業数は約300万社です。
この辺りの事前知識は頭に入れておくとケースが解きやすくなり良いです。
ドローンを保有している企業の割合ですが、これはなかなか難しいです。
どんな業界がドローンを保有しているか想像してみましょう。
- 物流
- エンタメ
- 農業
- インフラ
どうでしょうか。
ほとんどの業界が持っているとは言えなそうですよね。
半分も持っていないと思います。
さらに、たとえばエンタメの中でも必ずしもドローンの保有はメジャーではなく、一部企業のみドローンを持っていると言えそうです。
10%だと30万社。
1%だと3万社。
電子契約導入企業が30万社ほどなので、それよりは少なそうですよね。
1%〜3%ほどと仮定し、一旦ドローン保有企業の割合を3%としてみます。
それらの企業は一体どれほどドローンを持っているのでしょうか。
これは難しいですね。
2Cで考えた時にドローンは10万円としたことに加え、コピー機などと違い使う用途が限られているので数は少ないと思います?
会社の規模によって大きく異なりますが、事業としてある程度採算を取るには10台では少なそうです。
故障などのリスクを考え在庫を持つことも考えると多く見積もって50台ほどでしょうか。
価格は2Cと同じ10万円。
…ちょっとまってください。
価格は2Cと2Bで同じでしょうか。
2Bの方がスペックが高かったりメンテナンスが充実していたりと、ドローンの価格が増えることが想像できないでしょうか。
筆者は2倍の20万円としました。
耐久年数は、2C向けのドローンより頑丈に作られていそうですがその分使用頻度が高いことが見込まれるので、結果で気に5年としました。
これらを計算すると約1,800億円です。
先ほどの240億円と今回の1,800億円を足して、日本のドローン市場規模を2,040億円(≒2,000億円)と試算しました。
ケースを解き終わった後にドローンの市場規模を確認したところ、2022年度の日本国内におけるドローンビジネスの市場規模は3,086億円とのことでした。
ドローン普及台数の増加施策
続いて、ドローン普及台数をどのように増加させるかを検討していきます。
先ほどの式からどこに課題があって、何を改善すると効率的に台数を増やせるかを考えます。
1つのボタンを押すことでドローンの台数が一気に増えるような、そんなボタンを見つたいです。
まず筆者が目をつけたのは2Cと2Bの市場規模に10倍の差がある点です。
あくまでフェルミで出した数字なので事実と異なるのでしょうが、それでも2つの市場に明らかな差があることには間違いなさそうです。
そこで、「2Bにおける施策」を優先的に考えることにしました。
その中でも「ドローンを保有する企業の割合」が少なそうであるということに課題感を感じました。
なぜでしょうか。
恐らく、導入メリットはおろか、ドローンが世の中でどのような使われ方をしているかわからないと言ったケースがあるのではないでしょうか。
また、初期費用が高くて気軽に手を出せないと言ったマネジメントもいるでしょう。
他には、ドローンを操縦する人が社内にいないこともネックになっている可能性があります。
そこで、まずはドローンを知ってもらう機会を創出するべく、初期貸出を一定期間無料で行うことを考えました。
些末ですが、コンサルを使ったことのない企業にコンサルを使うとどういうメリットがあるが理解いただくためにほぼ無償で1ヶ月サービスを提供するということもあるようです。
今回のドローン施策も同様にまずはドローンの良さを知ってもらうことを目的に無償提供するのはありかもしれません。
はたまた、企業がドローンを買取り、レンタル事業を始める、新規事業の提案も可能性としてはありますね。
操縦士がいないことについては、現役の操縦士が出張でレクチャーを行ったり、免許取得の日数やプロセスを短縮化することが考えられます。
そして次に課題がありそうだったのは、ドローン価格の高さです。
単価を下げるという観点では、たとえば長期契約をするほど月当たりのレンタル費用を抑えることができるプランを提供可能です。
もしくは、ドローン導入企業に対して国や自治体から補助金などのインセンティブを出すことも施策としては考えられます。
インセンティブを出す以上、そのメリットが必要です。
たとえば以下のようなメリットが考えられます。
- 作業効率向上
- 人件費削減
- 事故リスク低減
- 再雇用機会創出
これらを踏まえ、筆者が検討した施策を改めてまとめると以下です。
ドローン普及台数増加施策(例)
- ドローンの初回無料レンタル
- ドローン貸出新規事業の提案
- ドローン操縦レクチャーサービス
- 長期契約によるドローン単価低減
- ドローン導入企業に対する補助金設計
本番のケースでは、この後に実現性やコスト、実現時期、リスクなどを鑑みて施策の優先度を決定します。
まとめ
今回はBCGで出題されたケーステーマ「ドローンの市場規模を算出し普及台数増加の施策を検討せよ」について筆者が実際に解いてみた様子をご紹介しました。
本記事の内容は決して唯一解ではありませんが、ケース解決の方法論としての思考力を鍛えるためのヒントにしていただけたら幸いです。